コロナ禍経済と為替状況

野中美里
3回にわたって田中さんに解説をして頂いています。「アメリカの長期金利」、そして、その長期金利の影響を大きく受ける「株式」、ラストの今回は「為替」についてです。

大局観としては、まだまだドル安のトレンド内にあるのですが、相場というのは1本調子ではいかないですよね。大きな流れは年に数パーセントのドル安の中にあるという議論をしている時でも、ドル安が続けば、ドルショート=ドルの売り持ちポジションが膨らむ。そうするとどこかで利食うという場面がきますよね。利食って逃げ損ねた、利食い損ねたというと今度は含み損を抱えます。この人たちが締め上げられると、思いがけず相場がどんどん逆サイドに進んでいくということが度々起こる。

ですから、大きな意味での下落トレンドの中でも5〜10%の反発は過去にも何度も起こっていた。まさにその最中にいるので、これをどう捉えるか一度整理をしておく必要があるだろうということです。

図・コロナ禍経済の回復軌道イメージ

一番下のドルを見ていただくと、通常、アメリカ景気が悪くなってきた、金利が下がってきた、株が下がってきたという時にドル安、というのが最初の動きドル安が続いていく中で、まだまだ景気が悪い、金利も下がっていく中、でも株が金融相場で反発したところでドルも反発しやすいという傾向があります。でもその後、結局は為替は金利に引っ張られるところが強いので、やっぱりドル安だということを確認する。

そのドル安が、今度は景気回復が進んで、株高も進んで、いよいよ利上げだ、金利が上がるのだったらドル高だろうと巻き戻されるのが、このBなんですね。

ですから今回の場合、何が起こっているかと言うと、ここに至るまでの株高金融相場の度が過ぎて、債券もものすごい低金利、つまり超値がさになってて、これの揺り戻しが来るだろうということで、このAの長期金利が今、皆が気になって仕方がない。

そうしたらこのBで起こるような、長期金利が上がる時にドル円も上がるという展開が起こっている。

普通のサイクルでは、このAのところでそれなりに金利が上がるとドル円もちょっと上がる傾向はあるのですが、為替は長期金利ではなくて短期金利で動かされる部分の方がお金の流れとしては大きいです。

ですから短期金利がずっとまだ低いままでアメリカでは推移している間はドル安になりやすい下地がある。

その点で、私は2021〜22年と辿っていくと、まだドル安の大きなトレンド中にはいる。でもドル安トレンドがある程度長く続いたのでその巻き戻しがこの長期金利過敏症と一緒にこの時期に生じたと考えています。

今のドル円の関係

図・外国為替:ドル対ユーの、豪ドル、元、円

為替市場、主要通貨について少し全般に見ていただくと、対ドルの推移を示しています。

全体が右上がりになっているということは、これらの通貨が強くなってドル安になっているいう流れですね。

実はこの中で円相場ですが、ほぼ10カ月に渡ってずっとじり高、つまりドル安になっている、他の通貨もそうです。この中で特に重要なのがユーロで、2大通貨の一方としてユーロがある程度買えるという状況にあると、基本ドル安トレンドの中でユーロ買いでドル安ということが効きやすいですね。

ユーロ圏は決してファンダメンタルズが立派ではなくて、それ自体が買えるというほどではなかった。けれどもコロナ禍において、初めてユーロ圏全体で共通の財政政策やろうという話になって、だったら悪くないという考えからユーロ買いが出てきた。これがⅠの局面ですね。

ですから、ユーロは決して強くない。アメリカもいろいろ政策を打って、相対的にはアメリカの方が優位かもしれない。でもアメリカは金融緩和をしてますが、アメリカは金融緩和に対して感応度が高い経済、感応度が高い通貨を持っています。つまり、金融緩和をしていれば経済は良くなるし、金融緩和効果によって「ジャブジャブのドルを使ったら?」と海外にも出てくる。こういう効果があるので、そういう時にユーロが悪いばかりではないとなると、ユーロにお金が入ってくるユーロ高でドル安になる。この流れが延々続いたのですけど、さすがにこの年末から年始にかけてドル安が続いて、それなりにドル売りポジションが溜まっていた。そんな時にユーロ圏でコロナ第三波、これが厳しくて、景気の二番底も欧州が一番きつそうだ、ユーロは下がるだろうという状況が生じてくるわけですね。

ちょうどその折にアメリカでは新政権が誕生して、相当突飛な財政政策を付け加えることになってきた。金利も上がりそう、ドル買いユーロ売りだよねと。これでユーロが先に落ちてくるのですが、円はそれなりに踏みとどまっています。踏みとどまっていたけれども、10ヶ月も続いた円買いドル売りのポジションがあって、これがそのトレンドの逆サイドの方にグッと押し込まれて、「気持ち悪いな、嫌だな、ユーロ下がっているし、豪ドルも少し下がってるし、全体的に気持ち悪いな」となって、それが押し切られたところにアメリカの金利上昇が重なってくる

図・米金利とドル円

あまり強い相関ではないけども、何となく底流では効いているかなというのは分かりますよね。

もうずっと10か月もドル円が下落してきて、そっちのポジションがたまっている。半年〜10カ月前を振り返ってみると、「アメリカが良くなるからドルが売られるんですよ」と私が言った時は、ほぼ孤軍奮闘の見通しでしたよね。でも11月以降に新政権誕生、ワクチンという時にドルが下がっていったら、もうほぼマーケットの人たちフルでドル安だと言っていました。ということは、もうみんながドルショートをためている

これが1月に入って、何かちょっと嫌だなという方向に押し込まれている。これが金利の上昇でダメ押し的に振られてしまった展開になっていると。長期金利そのものがある種、債券からの逃避行動なので、ちょっと突飛に上がっている

これを嫌って株の超値がさだったものが売られて、非常に長期金利に敏感になっている。為替市場では普通は短期金利が為替を動かすところ大きいのですが、日米の間ではもうほぼゼロ金利で、差があまり動かないわけですよね。しばらく動きそうもない、投機筋はここで財政政策発動、アメリカの長期金利が上がっている、そのことで株が下がってるから、株下がるならドル安と思いたいところですけれども、投機筋はわりとシンプルにテーマを追求して、ずっと続いた円高ドル安が反転しているので、これ一気に行けるよというので、「金利上昇と直接結びつけたリフレトレード、経済がリフレで上向く、金利が上がる。だったらドル買い、これで突っ走ってる状態ですよね。

テーマが少ない中でお金は余っているので何かしないと、という中で、それに反応してしまっているところがあるということなのです。

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