マーケットの下落が経済の先行き不安を呼ぶ

野中美里
新型コロナショックで原油価格が急落、そして先日のFRB緊急利下げもありマーケットが大きく動いて、企業や経済への影響が大きいですね。

本当に様変わりですよね。しかも通常の経済あるいはマーケットの自立的な動きの分析が当てはまらない、そういう特殊な事情だということを踏まえておく必要があります。

まずなによりも、この感染者数がどうなるかを見ていくしかありません。2月の下旬以降、中国では感染者数の増加ペースは著しく落ちていて、一旦感染したけどもう回復しましたという人たちも当然いるわけで、実際の患者数というのは減っている。一方で韓国、イタリア、そしてアメリカなどにも広がっています。

最大の問題は、中国は中央集権国家として強権で都市の封鎖等ができ、抑えることができた。しかし、果たして自由主義圏、民主主義国でそれができるのかということが問われる事態になっています。これが2週間4週間という期間でそれなりに抑えられたじゃないかとなれば幸いですが、不透明です。

もう一つは、これも希望的観測ではありますが、暖かくなってきたら、北半球が春に入ってきたら、自ずと減るんじゃないかということを指摘する声もあります。そうなってくれれば幸いですが、とにかく西側、自由主義圏の先進国で果たして抑制が効くのかどうかということを、当面は見ていくということになります。

それからもう一つ重要なことは、この先行き不透明な中で株が落ちてくる。本来、経済実態がこうだからマーケットはこの辺がバランスがいいんだっていう分析をするわけですけれども、マーケットが落ちること自体が経済の先行き不安を呼んでしまいます。経済、企業が止まっているとか、自粛しているということと、この心理的な不安というものがマーケットの動きによって増幅されてしまう面があります。

ですから株価自体がどこまで下がるのかが重要な尺度になってくる。その上で、実体経済がどういうところに着地してくるかを見る必要があるんですね。

この間FRBが緊急利下げをしましたが、利下げそのものは感染の抑制には効かない。企業が自粛するという行動も金融緩和によっては止められない。自粛している時に資金繰りに困ってきたところを金融緩和が救う、サポートするという面はあるので、いざ立ち直ってきたらこういう金融緩和が幸いしてということは当然起こりえます。ただ悪化してる最中、どこで着地するかの目処にはなりにくい。

何よりも、この時にアメリカがどんどん利下げをしていく。日本はマイナス金利でほとんど下げる余地がないという中で、アメリカはプラスの領域から金利をまだ下げる余地がある。実際下げてくると、その分だけドル安の圧力になる、円高になる。円高になるとリスクオフで円高感が煽られて、株安円高の悪循環が起こるのが日本の悩みで、この事態ももうすでに起こっているということなんですね。

FRBの利下げがそれなりにアメリカにとって支援効果が出る。利下げがドル安を招く。そしてドル安自体がアメリカを救うという面があるので、その時には日本が割を食うということがより強く出てしまうんですね。

読みにくい経済指標

経済指標自体も非常に読みにくいのは、例えば2月の中国の数字というのは、経済活動をピタッと強制的に止めたりもしましたので、従来とはまったく連続性のない形で数字がドスンと悪くなりますよね。ですので、そのまま単純な評価ができないわけです。

技術的な問題ではなく強制的にストップさせた、そのおかげもあって早く感染収束させる道筋ができた。この場合でも、落ちた分が早期であったから一気にキャッチアップで動き出すという、そういう期待感を持てるわけですが、その下がって上がってということのタイミングであるとか、程度というものを評価する術がない。

これが先進国、西側になると尚更で、欧米の場合、2月の下旬以降に急激に懸念が強まった。経済活動の自粛、停止がどんどん進んで落ち込んでいくといった時に、この数字は3月に出てくることになりますよね。そうすると、2月のデータまでは意外としっかりしていて、3月から急に悪くなるという場合、なかなか経済がいつ回復するという議論ができないですよね。

ですから、とにかくは感染者数がどうなるのか。それから、その時に株価がどの辺で止まっていられるのか、これが最初の重要な尺度で、その先にファンダメンタルズ、経済がどうなるのかということ自体が株式市場にも跳ね返ってくるので、こういう順番で見ていることになります。

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