相場はどこまで下がるのか?

野中美里
相場はまだ下がるのでしょうか?

こういう事態になったときにどこまで行くということについては、なかなか分析の枠組みはないんです。先ほどのイロコイ劇場の話のように「ボヤでこんなことになってしまうの?」「600人も亡くなった?」っていうことがあるように、ファットテール現象と言って、一線越えて動いていくと、まさかこんなことになるなんてということもあり得る。でも早期に終息すれば「なんてことなかったよね」ということで落ち着く可能性もある。

ただ現時点においては、このファットテール、つまり、相場がグッと悪いほうに行くという領域に片足入ってしまったので、その点ではなかなか終息をピンポイントでいうことができない状況ですね。

そんな中で、水準感のメドとして、まずマーケットの内部の事情から評価するということができるんですが、それをお話したいと思います。

アメリカの株価は、2019年を通じて結構モタモタしてたんです。2018年に景気にピーク感が出てくる時に利上げが進んでいって、それを嫌って株価がドスンと落ちてるんですよね。その後ちょっと落ち着きかかってきた。背景にはFRBが利下げをする、それからその後トランプ政権が、大統領選挙戦が始まるときに中国との摩擦をいったん棚上げにした。

その時に、ずっともたついていた半導体市況が回復してきて、半導体主導でもう一景気くるんじゃないか、2020年はアメリカ中心に世界がいいよ、大丈夫だよって話で始まったわけですよ。

その相場が秋から加速し、19年中は2800から3000のところでアメリカ株は持ち合っていたんですけれども、これを超えて3400近くまで上がってるんですよね。逆に言うと、この持ち合っているところから上にいった部分っていうのは2800~3000の比較的近いところ、この辺のコストの人たちが大量にいるので「いざとなれば、売り逃げればいいよ」という人たちの大きなまとまりなんですよ。その分いざ下がってくると、そこから超えて上がった部分はストーンと落ちてしまう。

ただこれが2800、3000のゾーンに入ってくると、「今売ったら含み益なくなっちゃってるし、どうしようか?」って一瞬躊躇しますよね。そういうときには、普通は相場は少しスピードが鈍るので、政策対応が打たれたとか、感染の収束の兆しが出てきたよとか、こうなれば相場が落ち着くので、やれやれなんです。

2月の末に相場が下がってこのゾーンに一旦入ったんですけれども、すかさずFRBが政策対応等をして留まった。でもこれを割れてくると、今度は割れて売り損なった、逃げそこなったという人たちは、大変なことになった、相場が戻ったらチャラの所で売っておいた方がいいやって思いますよね。そうすると、割れてしまうことで、この上にかぶさってくるので、今度はそこが抵抗になってしまう。ですから、ここが割れるかどうかというのはテクニカルな意味で、マーケットの中の自立的なリズムの点で、あるいは行動学的な点で一つのポイントにはなります

フィボナッチの数字、黄金律で考えるとS&P500は2000ドル?

このところの下落からすると、割れる可能性がかなり高くなってきており、テクニカルな評価なんですけれども、相場ってこのぐらいまで下がるんじゃないですかという目処として、マーケット関係者が良く使う指標で、フィボナッチの数字、黄金律というものがあります。

ちなみにこのS&P500がリーマンショックの時に666まで落ちて、これが今回の11年以上の大相場で3385まで来てたんですね。こういう大きなトレンドに対して、今回の事態がリーマン級の調整をもたらすんだという風に考えた場合には、フィボナッチの数字、黄金律として、相場がピークから、下値から上がった分の38.2%、これが自然の法則で、ここまで下がるんだみたいな言い方をするんですね。私自身は大した意味があるとは思っていません。でもこの38.2%まで下がるというと、こういうところを目処に買い向かおうかっていう風に考える人も出てきやすくなる。

次は50%。その下が61.8%。ですからこの数字を単純に入れると、3385まで上がった相場が38.2%下がる2346、あるいは50%下がると2025、そして61.8%下がると1705という水準になっている。

相当深刻な下げではあるんですけれども、先ほど申し上げた2019年に揉み合っていた2800〜3000がテクニカル的に最初にスピードが緩んで、この辺で止まってくれれば御の字なんだけどっていう水準感で、これを割れてくると2346。過去の景気後退で3割ぐらい相場が下がったことを考えると、まぁこんなところがあり得るのかなというイメージです。

もっと深刻に、今回収束のめどが立たないし、着地点が見えないという不安がかさんで50%下がるというと2025、この50%の時の2000あたりを見ますと、大体14年15年あたりに相場が持ち合っているので、やはりここがポジションができているゾーンなので、相場が大きく落ちても、スピードも鈍って、さすがに経済は落ち着いてるでしょっていうことの一つの目処になります。

そこまで行くという話ではなくて、そこら辺まで行けば、いくらなんでも落ち着いているでしょっていうことの一つの下値の目処として捉えて、それ以前のどこで感染症の収束の目処が立って相場が落ち着くかっていうことを逆に把握していく、こういう考え方なんですね。

実は問題として、アメリカ株が世界を支えているという精神的な支柱だったものが崩れたという意味ではかなり深刻で、そこを中心に見ていくんですけれども、こういう事態になると日本は「リスクオフで円高」と言って、円高がきてしまう。円高が来ると、円高分だけ日本株はアメリカ株以上にパフォーマンスが悪くなるという性質があるんですね。

そうであればこそ、こういう事態の中で日本の投資家としてちゃんと理解しておかなきゃいけないメカニズムもありますし、元々こういうリスクがあるんだということで対処しなきゃいけない、その方法というのもある。実際に起きてしまうとなかなか手を打ちにくくなるんですけれども、メカニズムを今後のためにもきっちりと理解しておく必要があるということなんです。

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